社史の費用の目安
社史の制作費は、公開されている解説記事による目安で、一般的な例が500万〜1,000万円程度です。社史の費用を調べた公的な統計は見当たらず、金額はページ数、部数、取材の量、製本や色によって大きく変わります。同じ「社史」でも、8ページほどの写真年表と、100ページを超える通史とでは、必要な取材も原稿も大きく異なるため、これより小さくも大きくもなります。
| 方法 | 費用の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 社史(一般的な例) | 500万〜1,000万円程度 | ページ数や取材の量によって、これより小さくも大きくもなる |
| 企業出版 | 300万〜1,000万円程度 | 書店流通や宣伝を含むかで変わる |
| 自費出版 | 50万〜300万円以上 | 1,000部で100万円程度とする記事もある。流通や保管は別料金のことがある |
金額を見るときの前提
- いずれも公開されている解説記事(2022〜2025年)による目安であり、特定の事業者の料金を示すものではありません。
- 社史の費用は、印刷代だけではありません。企画、取材、原稿、デザインなど、本を「作る」ための費用が大きな割合を占めます。
- 金額を比べるときは、判型、ページ数、色、製本、部数をそろえたうえで比べます。
出版の方法ごとの違いは、企業出版・自費出版・商業出版・社史の違いと費用で詳しく説明しています。
費用が変わる理由
社史の見積もりの金額が大きく異なるときは、多くの場合、ページ数、部数、取材の量、写真と資料、判型、製本と紙、色、デザイン、外注する範囲のいずれかが異なっています。金額の差は、仕様と作業の範囲の差として読み解けます。
| 要素 | 費用への効き方 | 決めるときの考え方 |
|---|---|---|
| ページ数 | 原稿、デザイン、印刷のすべてに効く | 16ページ単位で考えると、むだが出にくい |
| 部数 | 多いほど1冊あたりの費用は下がり、総額は上がる | 配る先を数えてから決める |
| 取材の量 | 話を聞く人数と時間。歩みの物語を厚くするほど増える | 誰に、何を聞くかを先に決める |
| 写真と資料 | 新しく撮るか、古い写真を探して整えるか。古い写真のデジタル化も費用になる | 社内にある写真と資料を先に集めておく |
| 判型 | 印刷機に合う判型を選ぶと、紙のむだが減る | 写真を見せるならA4判、持ち歩いて読むならA5判や四六判 |
| 製本と紙 | 上製本(硬い表紙)は並製本より費用が高い。表紙の加工や箱をつけると増える | 長く保存する本か、配って読んでもらう冊子か |
| 色 | カラーページが多いほど費用は上がる | 全ページをカラーにするか、写真のページだけにするか |
| デザイン | ページ数、写真や図の点数、ページごとの作り込みの度合いで変わる | 構成の型を決め、書式をそろえる |
| 外注する範囲 | どの工程までを頼むかで変わる | 社内でできる作業と、頼む作業を分ける |
このほか、書店に流すか、電子化やウェブ公開、増刷、更新をするかといった、本ができたあとの扱いも費用に関わります。
工程ごとの費用の内訳
社史の費用は、企画・編集、取材、執筆、写真・資料整理、デザイン・組版、校正、印刷・製本、配送・保管の8つの工程に分けて考えると、見積もりと照らし合わせやすくなります。公開されている解説記事では、取材、原稿、デザインなど、印刷の前の工程にも相応の費用がかかるとされています。
| 工程 | 主な作業 | 費用を左右すること | 公開記事による目安 |
|---|---|---|---|
| 企画・編集 | 目的、読者、判型、ページ数、部数、発行日を決め、構成と進行を整える | 構成の検討の回数、関わる人の数、制作の期間 | 企画:10万〜30万円 |
| 取材 | 経営者や社員、OBなど関係者への聞き取り | 取材する人数、回数、時間、移動の有無 | 20万〜50万円 |
| 執筆 | 原稿を書き、事実を確かめる | 文字数、裏付けを取る資料の量、書き直しの回数 | 原稿:30万〜100万円 |
| 写真・資料整理 | 新しい撮影、古い写真や資料の整理とデジタル化 | 撮影の回数と場所、デジタル化する点数、資料の状態 | 撮影:10万〜50万円 資料のデジタル化:5万〜30万円 |
| デザイン・組版 | 誌面のデザインと、文字や写真の配置(DTP) | ページ数、写真や図の点数、表紙の作り込み | 20万〜80万円 |
| 校正 | 刷り出した紙面で誤りを直す(初校、再校など) | 校正の回数、確認する人の数、大きな直しが入る時期 | 個別の目安は見当たらない |
| 印刷・製本 | データを印刷所に渡し、刷って本にする | ページ数、部数、色、紙、製本、印刷の方法 | 30万〜200万円 |
| 配送・保管 | 配る先への発送、残った本の保管 | 配る先の数と送り方、保管する部数と期間 | 個別の目安は見当たらない |
総額と工程ごとの金額は、いずれも公開されている解説記事による目安で、工程ごとの金額は2025年の記事によります。記事によって想定している社史の規模が異なるため、各工程の目安を合計しても、総額の目安とは一致しません。工程の名前や分け方も、見積もりによって異なります。
社史では、最初の企画と、資料集め・取材に時間がかかりやすくなります。この段階で目的と読者、構成の型を決めておくと、後の工程でのやり直しが減り、費用と日数の見通しを立てやすくなります。
印刷・製本の費用の傾向
日本印刷産業連合会の解説によると、印刷・製本の費用には次のような傾向があります。
- 刷版は部数に関係なく色ごとに必要なため、ページ数と色数が費用の土台になります。部数が増えるほど、1冊あたりの単価は下がります。
- 少ない部数では、刷版のいらないデジタル印刷のほうが安くなりやすいとされています。
- 大きな紙を3回折ると16ページ分の束(折丁)ができるため、ページ数を16ページ単位など区切りのよい数にすると、費用を抑えられます。
- 上製本は並製本より費用が高く、カラーページが多いほど費用は上がります。
校正の費用と日数
校正は、回を重ねてから大きく直すと、費用と日数が増えます。初校の段階で、関係者の確認をまとめて済ませることが、進め方の要点です。
見積書の読み方
見積書は、総額より先に「何が含まれ、何が別になるか」を確かめます。同じ総額でも、含まれる工程や修正の回数、権利の扱いが異なれば、あとから必要になる費用が変わるためです。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 含まれる工程 | 企画から配送までのどこまでが料金に入っているか。資料のデジタル化、撮影、配送、保管が別になっていないか |
| 仕様 | 判型、ページ数、色、紙、製本、部数が明記されているか |
| 取材と撮影の回数 | 回数、時間、場所。回数を増やしたときの扱い |
| 修正と校正の回数 | 原稿とデザインの修正、校正が何回まで含まれるか。どの段階からの修正が追加になるか |
| 追加費用の条件 | ページ数、部数、写真の点数が変わったとき、発行日が延びたときの扱い |
| 権利 | 原稿と写真の著作権を譲るか、使ってよい範囲をどう定めるか。増刷、電子化、ウェブ公開、採用サイトなどへの転用ができるか |
| データの引き渡し | 印刷用のデータ、原稿の文字データ、写真の元データ、取材の記録を受け取れるか。その形式 |
| その後の費用 | 増刷、電子化、在庫の保管、内容の更新にかかる費用が別になっているか |
見積もりを比べるときの注意
- 同じ条件(判型、ページ数、色、製本、部数)で見積もりを取ります。
- 取材や撮影の回数、校正の回数が料金に含まれているかを確かめます。
- 書店への流通、在庫の保管、増刷、電子化の費用が別かどうかを確かめます。
- 総額だけでなく、1冊あたりの費用でも比べます。
社外の人が作った原稿や写真は、原則として、費用を払っただけでは著作権は会社に移りません。あとで使いたい用途がある場合は契約の前に伝え、契約で確かめます。詳しくは専門家にご確認ください。権利の基本は、著作権と契約で確かめることで説明しています。
費用を抑える方法
社史の費用を抑えるには、目的と読者を先に絞り、それに合う型と仕様を選ぶことが近道です。「何部を、誰に配るか」「どこまで詳しく残すか」が決まれば、費用を左右する要素の多くは自然に決まります。
目的を絞る
採用、社員教育、周年の記念、事業承継など、使い道によって読む人と載せる内容が変わります。使い道を1つに絞り、主に読んでほしい人を決めると、不要なページや取材を減らせます。予算の上限を先に伝え、その範囲でできることを提案してもらう方法もあります。
型を選ぶ
構成の型によって、ページ数と取材の量の目安が変わります。たとえば写真年表型は8〜16ページ、声型は16〜32ページ、通史型は16〜100ページ以上が目安です。型は取材の前に決めます。型によって取材の相手と問いが異なり、後で変えると取材のやり直しになるためです。型ごとの作り方は、社史の5つの型で説明しています。
ページ数を決める
ページ数は、原稿、デザイン、印刷のすべての費用に関わります。16の倍数(少なくとも4の倍数)にすると、紙のむだが出にくくなります。
部数を数える
部数は、配る先を数えてから決めます。社員に配る社史であれば、社員数、OB、保管用を足した数が目安になります。取引先に配る記念誌であれば、配る先の数に予備を足した数が目安です。少ない部数であれば、デジタル印刷を選ぶ方法もあります。
PDFやウェブで公開する
紙の本は配る相手の分だけにし、PDFや自社のサイトで公開する方法もあります。紙の本と違い、あとから直したり、内容を足したりできます。
製本と紙を選ぶ
並製本と標準的な紙を選ぶと、費用を抑えやすくなります。長く保存する記念の本であれば上製本、配って読んでもらう冊子であれば並製本というように、使い道に合わせて選びます。
社内でできることを分ける
- 写真と資料を、制作の前に社内で集めて整理しておく
- 年表の下書きと、配る先の名簿を用意しておく
- 原稿の確認者を決め、初校で関係者の確認をまとめる
抑えると、中身に響くところ
- 取材:話を聞く時間が、本の面白さを大きく左右します。
- 原稿:読みやすさと正確さに関わります。
- 校正:誤りは、本に残り続けます。
税金と経理の扱い
社史の制作費の税金と経理の扱いは、配った先や在庫の有無などによって扱いが分かれることがあるため、税理士などの専門家にご確認ください。誰に、何部配り、何部残ったかを、名簿と一緒に記録しておくと、相談や経理の処理がしやすくなります。
無料資料のご案内
工程ごとの費用の内訳と、税金と経理の扱いの整理は、無料資料「社史担当者のための出版大全」(全32ページのPDF)にまとめています。資料では、このページの内容に加えて、次のような内容を掲載しています。
- 社史の費用の工程ごとの目安と、費用を抑えやすいところ・抑えにくいところ
- 費用を左右する要素の整理と、目的から費用を逆算する考え方
- 税金と経理の考え方の整理表
- 社長への最初の報告にも使える「最初に決める12のこと」の記入シート
出版の方法ごとの違いは企業出版・自費出版・商業出版・社史の違いと費用で、構成の決め方は社史の5つの型で説明しています。数字は、2026年10月時点で公開されている情報によります。
よくある質問
- 社史の費用の相場は、どのくらいですか
- 公的な統計はなく、公開されている解説記事による目安では、一般的な例で500万〜1,000万円程度です。ページ数、部数、取材の量、製本や色によって、これより小さくも大きくもなります。
- 社史の費用は、何で決まりますか
- 主に、ページ数、部数、取材の量、写真と資料、判型、製本と紙、色、デザイン、外注する範囲で決まります。印刷代だけでなく、企画、取材、原稿、デザインといった、本を作るための工程にも費用がかかります。
- 見積もりの金額が、依頼先によって大きく異なるのはなぜですか
- 多くの場合、仕様や、料金に含まれる工程の範囲が異なるためです。判型、ページ数、色、製本、部数をそろえ、取材や校正の回数、配送や保管、権利の扱いが含まれているかを確かめたうえで比べます。
- 見積書では、何を確かめればよいですか
- 含まれる工程、仕様、取材と撮影の回数、修正と校正の回数、追加費用の条件、原稿と写真の権利、データの引き渡しを確かめます。増刷や電子化など、本ができたあとの費用が別かどうかも確かめます。
- 社史の費用を抑える方法はありますか
- 目的と読者を絞り、それに合う型を選ぶことが基本です。ページ数を16の倍数にする、配る先を数えて部数を決める、並製本を選ぶ、PDFやウェブで公開する、写真や資料を社内で先に集めておく、といった方法があります。
- 少ない部数でも、社史は作れますか
- 作れます。少ない部数では、刷版のいらないデジタル印刷のほうが安くなりやすいとされています。紙の本は配る相手の分だけにし、PDFやウェブで公開する方法もあります。
- 社史の制作費は、経費として処理できますか
- 配った先や在庫の有無などによって扱いが分かれることがあるため、税理士などの専門家にご確認ください。配った先と部数、残った部数を記録しておくと、相談がしやすくなります。
続きは、無料の資料で
工程ごとの費用の内訳、最初に決める12のこと、税の扱いの整理は、無料資料「社史担当者のための出版大全」にまとめています。会社名、お名前、メールアドレスをご入力いただくと、PDFをすぐにお送りします。
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公開日:2026年10月14日 KATARU(運営 ミダスマーケティング)