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社史のつくり方

社史の作り方:流れと期間の目安

社史は、企画から配布まで10の工程で作ります。最初に決めること、工程ごとの担当と期間の目安、配る日からの逆算のしかた、期間を短くする方法をまとめました。

社史ができるまでの全体像

社史は、企画、体制づくり、資料集め、取材、構成(台割)、執筆、確認・校正、デザイン・組版、印刷・製本、配布・活用の10の工程で作ります。本ができるまでの流れは、どの出版の方法でもほぼ同じですが、社史では、はじめの「企画」と「資料集め・取材」に時間がかかりやすくなります。

工程は大きく3つの段階に分けられます。何を、誰に向けて作るかを決める「準備」(企画、体制づくり)、中身をそろえる「素材づくり」(資料集め、取材、構成、執筆)、本の形にする「仕上げ」(確認・校正、デザイン・組版、印刷・製本、配布・活用)です。

期間を考えるときの前提

社史の制作期間を示した公的な統計は見当たりません。期間は、ページ数、取材の量、確認する人の数によって大きく変わります。そのため、このページで示す期間はすべて目安です。実際の計画は、配る日(発行日)から逆算して立てます。

最初に決める6つのこと

社史づくりで最初に決めるのは、目的、読者、型、体制、予算、期限の6つです。中でも「誰に、何のために読んでもらうか」が決まると、構成もページ数も部数も、その答えから導けるようになります。

決めること内容決めておくと分かること
目的周年の記念、事業承継、社員教育、採用、会社紹介など、社史を何に使うか載せる内容と、詳しさの度合い
読者社員、OB、取引先、次の世代の経営者など、主に読んでほしい人取材する相手と、聞く内容
型通史型、年次型、写真年表型、声型、名鑑型のどれを主役にするかページ数の目安と、必要な資料
体制社内の担当者、内容を決める人、確認する人、社外に頼む範囲確認にかかる日数と、各工程の担当
予算使える費用の上限ページ数、部数、製本、色などの仕様
期限配る日と、配る場面(周年の式典、入社式など)工程ごとの締め切り

型は、取材の前に決めます。型によって取材する相手と聞く内容が変わり、後から変えると取材のやり直しになることがあるためです。5つの型の違いとページ数の目安は、社史の5つの型で紹介しています。費用の考え方は、企業出版・自費出版・商業出版・社史の違いと費用をご覧ください。

10の工程と、それぞれの進め方

それぞれの工程には、会社が担う役割と、制作の協力先が担う役割があります。ここでは、工程ごとに、すること、主な担当、期間の目安、つまずきやすい点をまとめます。

1. 企画

すること
目的、読者、型、判型とページ数、部数、予算、発行日、紙以外の残し方(PDF、ウェブ、データ)を決め、社内の了承を得ます。
主な担当
会社(担当者と、内容を決める経営者)。協力先に相談しながら決めることもできます。
期間の目安
社内で合意するまでの日数によります。了承を得る場の回数が多いほど長くなります。
つまずきやすい点
目的が決まらないまま進めると、取材の途中で方針が変わり、聞き直しが必要になります。迷ったときは「誰に、何のために」に戻ります。

2. 体制づくり

すること
社内の担当者(事務局)、内容を決める人、原稿を確認する人を決めます。取材、執筆、デザイン、印刷のうち、社外に頼む範囲も決めます。
主な担当
会社
期間の目安
企画と並行して進めます。社外に頼む場合は、相談と見積もりの日数を見込みます。
つまずきやすい点
確認する人が多いと、意見の取りまとめに時間がかかります。確認する人をあらかじめ決め、最終的に判断する人を1人置くと、進めやすくなります。

3. 資料集め

すること
昔の写真、登記・定款、決算書、会社案内、社内報、新聞記事などを集め、分かる年と出来事から年表の下書きを作ります。
主な担当
会社が資料を出し、整理は協力先と分担します。
期間の目安
2〜3週間ほど(社長が多忙な中小企業を想定した目安)。歴史の長さや拠点の数によって延びます。
つまずきやすい点
事務所の片づけなどで、古い資料が処分されることがあります。残すか迷うものは、捨てる前に写真に撮っておきます。写真は裏も確かめ、日付や名前の書き込みがあれば一緒に撮ります。

4. 取材

すること
経営者や先代、社員、OBなどに話を聞きます。経営者への聞き取りは、1回1時間ほどを目安に、テーマを分けて3回以上行います。
主な担当
取材する人(社内の担当者か、社外の取材者)。会社は、話を聞く人の日程を調整します。
期間の目安
経営者への聞き取りは、月に1〜2回のペースで2〜3か月ほど。社員の声を多く載せる声型や名鑑型では、話を聞く人数に応じて延びます。
つまずきやすい点
日程の調整が後回しになりやすい工程です。話を聞きたい人の予定は、企画の段階で押さえます。聞き方の段取りは、代替わりの前に、先代から聞いておくことで紹介しています。

5. 構成(台割)

すること
どのページに何を載せるかを、ページ順の一覧(台割)にします。本は大きな紙に何ページ分かをまとめて刷って折るため、ページ数は16の倍数(少なくとも4の倍数)にすると、むだなく作れます。
主な担当
編集の担当が案を作り、会社が確かめます。
期間の目安
大まかな台割は企画の段階で作り、取材のあとで固めます。
つまずきやすい点
原稿ができてからページ数を大きく増減すると、デザインや印刷の段取りにも影響します。

6. 執筆

すること
取材と資料をもとに原稿を書き、年、人の名前、数字などの事実を資料で確かめます。
主な担当
執筆する人(社内か社外)。会社は、事実の確認に必要な資料を出します。
期間の目安
ページ数と取材の量によって変わります。取材が終わった章から書き始めると、全体の期間を縮められます。
つまずきやすい点
事実の確認には、想定より時間がかかりやすくなります。記憶と資料で年が食い違うときは、決算書や登記などの資料で確かめます。

7. 確認・校正

すること
原稿の段階で、内容と載せてよい範囲を社内で確認します。組版のあとは、刷り出した紙面(ゲラ)で誤りを直します。最初の校正刷りを初校、直しを反映したものを再校と呼び、校正が終わって印刷に進んでよい状態を校了といいます。
主な担当
会社(固有名詞、年、数字の確認)と、編集の担当
期間の目安
確認する人が多いほど長くなります。
つまずきやすい点
校正の回を重ねてから大きく直すと、費用と日数が増えます。関係者の確認は、初校でまとめて済ませます。

社史の校正で、特に確かめること

  • 人の名前と、旧字体などの漢字(本人や家族に確かめます)
  • 年月日と、西暦・和暦の対応
  • 役職名と、そのときの肩書き
  • 会社名、商品名、拠点名の正式な表記
  • 数字(売上、社員数、拠点数)の出どころと時点
  • 写真の説明(いつ、どこで、誰が写っているか)

社員やOB、取引先の名前や写真を載せるときは、本人の了承を得てから載せるのが一般的です。個別の判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。

8. デザイン・組版

すること
誌面のデザインを決め、文字や写真を配置します(組版)。判型と製本の方法も、このころまでに確定させます。
主な担当
デザイナー。会社は、デザインの方向を決めます。
期間の目安
ページ数と写真の量によって変わります。
つまずきやすい点
原稿が固まる前に組み始めると、組み直しが増えます。デザインの型は、原稿ができてからでも変えられます。

9. 印刷・製本

すること
校了したデータを印刷会社に渡し(入稿)、刷って、本の形にします。中くらい以上の部数ではオフセット印刷、少ない部数ではデジタル印刷が使われるのが一般的です。
主な担当
印刷会社。会社は、色や仕上がりを確かめます。
期間の目安
印刷と製本の日数は、仕様と部数で変わります。仕様が決まったら、早めに印刷会社に確かめます。
つまずきやすい点
硬い表紙の上製本、箱の有無、カラーのページ数などの仕様は、費用と日数の両方に関わります。仕様は、配る場面から逆算して選びます。

10. 配布・活用

すること
納品された本を、名簿にもとづいて配ります。PDFにして自社のサイトで公開したり、社員研修や採用の資料に使ったりする会社もあります。PDFをウェブで公開する場合も、国立国会図書館の収集の対象になることがあります(納本の項)。
主な担当
会社
期間の目安
配る日の前に、名簿の整理と発送の準備の時間をとります。
つまずきやすい点
名簿づくりは、納品の直前に始めると間に合わないことがあります。資料集めと並行して進めます。

国立国会図書館の納本Q&Aによると、配ることを目的に相当の部数(通常100部以上)を作った社史は、非売品でも納本の対象です。発行者が、発行した日から30日以内に1部を納めます。

工程・期間・担当の一覧

10の工程の期間と担当を一覧にすると、次のとおりです。期間は目安で、数字を示していない工程は、ページ数、取材の量、確認する人の数によって大きく変わります。

工程主にすること期間の目安主な担当
1. 企画目的、読者、型、予算、発行日を決める社内の合意にかかる日数による会社
2. 体制づくり担当者、確認する人、社外に頼む範囲を決める企画と並行会社
3. 資料集め写真や資料を集め、年表の下書きを作る2〜3週間ほど会社と協力先
4. 取材経営者、社員、OBなどに話を聞く経営者への聞き取りで2〜3か月ほど取材する人。日程の調整は会社
5. 構成(台割)どのページに何を載せるかを決める企画で大まかに作り、取材後に固める編集の担当と会社
6. 執筆原稿を書き、事実を確かめるページ数と取材の量による執筆する人
7. 確認・校正原稿の確認と、ゲラでの校正確認する人の数による会社と編集の担当
8. デザイン・組版誌面のデザインと、文字や写真の配置ページ数と写真の量によるデザイナー
9. 印刷・製本入稿、印刷、製本仕様と部数による印刷会社
10. 配布・活用配る、公開する、納本する配る日の前に準備の時間をとる会社

資料集めと取材の期間は、KATARUの無料資料「代替わりの前に残す、記録のチェックリスト」で示している目安です。

全体の期間の目安と、逆算のしかた

社史づくりの全体の期間は、作る社史の厚みで大きく変わるため、配る日から逆算して、工程ごとの締め切りを決めるのが基本です。ここでは、薄い冊子と本格的な社史の2つの例で、期間の考え方を示します。

例1. 薄い冊子(写真年表型、8〜16ページ)

年表と写真を中心に、文章は挨拶にとどめる形です。取材が少なく、執筆の量も限られるため、本格的な社史よりも短い期間で作れます。期間を左右するのは、写真探しと年の確かめ、確認する人の数です。資料集めは、2〜3週間ほどが目安です。

例2. 本格的な社史(通史型など、数十ページから100ページ以上)

経営者への複数回の取材をもとに、歩みを文章で読ませる形です。目安を足し合わせると、次のようになります。

  • 資料集め:2〜3週間ほど
  • 経営者への取材:2〜3か月ほど
  • 原稿ができてから本になるまで:3か月〜半年ほど(自費出版について公開されている解説記事による一般的な目安)

これに、企画と執筆の期間が加わります。取材と、原稿ができてからの工程だけでも半年から9か月ほどになるため、周年の式典などに合わせる場合は、1年以上前に企画を始めておくと、取材の日程と確認の時間に余裕を持たせやすくなります。

配る日から逆算する

計画は、後ろの工程から順に締め切りを置いていきます。

締め切り気をつけること
発行日(配る日)周年の式典、株主総会、入社式など、配る場面から決める
納品配る日の前に、名簿と発送の準備の時間をとる
校了印刷と製本の日数は仕様と部数で変わるため、早めに確かめる
初校の確認確認する人が多いほど、時間がかかる
原稿の完成事実の確認に、想定より時間がかかりやすい
取材の完了話を聞きたい人の予定を、最初に押さえる
企画の決定目的、読者、型、ページ数、部数、予算を決める

期間を短くする方法

社史づくりの期間を短くするには、紙以外の形で出す、ページ数を絞る、工程を並行して進める、確認をまとめる、の4つの方法があります。どれも、目的と読者に合うかを確かめたうえで選びます。

  • PDFやウェブで公開する:印刷・製本と発送の工程がなくなります。紙の本と違い、公開したあとで直したり、内容を足したりできます。紙の本と両方を作る場合も、PDFを先に公開する方法があります。PDFをウェブで公開する場合も、国立国会図書館の収集の対象になることがあります(納本の項)。
  • ページ数を絞る:写真年表型のような薄い型にすると、取材と執筆の量が減ります。年次型であれば、翌年以降に2ページずつ足していくこともできます。
  • 工程を並行して進める:資料集めと取材の日程調整は、同時に始められます。年表、会社概要、歴代の役員などの資料のページは取材を必要としないため、取材と並行して作れます。配る先の名簿づくりも、早い段階から進められます。
  • 確認をまとめる:確認する人と最終的に判断する人をあらかじめ決め、大きな直しは初校で済ませます。

ただし、取材を浅くして期間を縮めると、後から内容を足すときに追加の取材が必要になります。深く聞いた取材は、後から薄い型に組み直せますが、その逆は難しくなります。取材にかける時間は、残したい内容に合わせて確保することをおすすめします。

無料資料のご案内

社史の作り方を社内で説明するときや、計画を立てるときに使える資料を、無料で公開しています。

社内での共有や印刷にお使いいただけます。

よくある質問

社史を作るには、どのくらいの期間がかかりますか
社史の制作期間を示した公的な統計はなく、ページ数、取材の量、確認する人の数によって大きく変わります。目安として、経営者への取材に2〜3か月ほど、原稿ができてから本になるまでに3か月〜半年ほど(自費出版について公開されている解説記事による一般的な目安)かかるため、本格的な社史では、1年以上前に企画を始めると余裕を持って進められます。
社史づくりは、何から始めればよいですか
はじめに、社史の目的と、主に読んでほしい人を決めます。この2つが決まると、構成の型、ページ数、部数、予算の多くが、その答えから導けるようになります。
社史ができるまでの流れを教えてください
企画、体制づくり、資料集め、取材、構成(台割)、執筆、確認・校正、デザイン・組版、印刷・製本、配布・活用の10の工程で進めます。社史では、特に企画と、資料集め・取材に時間がかかりやすくなります。
周年に間に合わせるには、いつから始めればよいですか
配る日から逆算して、納品、校了、初校の確認、原稿の完成、取材の完了、企画の決定の順に締め切りを置きます。本格的な社史であれば、1年以上前に企画を始めておくと、取材の日程と確認の時間に余裕を持たせやすくなります。
社史を短い期間で作る方法はありますか
PDFやウェブで公開して印刷・製本の工程を省く、写真年表型のような薄い型にしてページ数を絞る、取材を必要としない年表や資料のページを並行して作る、といった方法があります。大きな直しを初校でまとめて済ませることも、期間の短縮につながります。
社史づくりで、会社は何を担当しますか
目的と読者の決定、資料の提供、取材に応じる人の日程調整、固有名詞・年・数字の確認、配る先の名簿づくりは、社外に制作を頼む場合でも会社が担います。取材、執筆、デザイン、印刷のどこまでを社外に頼むかは、体制と予算に合わせて決めます。
社史の型は、どの段階で決めればよいですか
取材の前に決めます。型によって取材する相手と聞く内容が変わるためです。デザインや細部のページ数は、原稿ができてからでも調整できます。

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公開日:2026年10月14日 KATARU(運営 ミダスマーケティング)