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社史のつくり方

社史に何を書くか:構成と載せる要素

社史には、何をどの順に載せればよいのか。巻頭・本編・資料編に入れる要素と役割、載せないものの決め方、32ページの目次の例をまとめました。

社史に載せる要素の一覧

社史の中身は、巻頭、本編、資料編の3つに分かれ、それぞれに入れる要素がおおむね決まっています。社史は、次のような要素を組み合わせて構成します。どの要素を厚くするかは、社史の使い道と型によって変わります。型の選び方は、社史の5つの型にまとめています。

要素区分役割入れ方のコツ
トップの言葉(挨拶)巻頭なぜ社史を作ったのか、誰に読んでほしいのかを、経営者の言葉で伝える1〜2ページに収め、顔写真と署名を添えます。お礼の言葉だけで終わらせず、これからの方針にもふれます
口絵巻頭本を開いた人に、会社の姿をひと目で伝える創業のころと現在の写真を並べるなど、時間の流れが分かる組み合わせにします
目次巻頭全体の構成を示し、読みたいところへ案内する章の題名に、時代の区切り(〇〇年〜〇〇年)を添えると、歩みの全体が目次だけで分かります
通史(歩み)本編会社の歩みを、時代を追って文章で伝える。年ごとの簡潔な沿革は、資料編の年表にまとめる歩みを3〜6の時代に区切り、1つの時代を1章にします。出来事を並べるだけでなく、その時代の課題と取り組みを書きます
転機と判断の理由本編会社の流れが変わった出来事と、そのときの判断の理由を残す「何を決めたか」に加えて、「ほかにどんな道があったか」「なぜその道を選んだか」を書きます
事業と製品本編何をつくり、誰に届けてきたかを伝える製品の写真に、生まれた年と、開発のきっかけを添えます
人と組織本編会社を支えてきた人と、組織の移り変わりを伝える部署や拠点ができた年と、そのときの理由をあわせて書きます
社員の声本編いま働く人の言葉で、会社の空気を伝える全員に同じ問いを投げかけ、答えを同じ書式でそろえると、読み比べやすくなります
数字で見る歩み本編社員数、拠点の数、取引の規模などの推移を、図で示す数字には、いつの時点の値か、何の資料に基づくかを必ず添えます
年表資料編出来事を年ごとに一覧にし、本編の内容を探しやすくする西暦と和暦を併記し、自社の出来事と社会の出来事を2列で並べます
役員一覧資料編歴代の役員と在任期間を記録する就任と退任の年月をそろえて書きます。掲載の範囲は、事前に決めておきます
組織図資料編発行時点の組織の形を記録する「〇〇年〇月時点」と、時点を明記します
データ資料編会社概要、拠点、主な実績などをまとめる本編で使った数字と、同じ値・同じ時点にそろえます
編集後記・奥付資料編誰が、いつ、どのように作ったかを記録する奥付には題名、発行日、発行者、制作者を入れます。編集後記に、取材に応じた語り手の一覧を載せる方法もあります

すべての要素を入れる必要はありません。ページ数が少ない社史では、トップの言葉、歩み、年表、奥付の4つを核にして、残りを使い道に合わせて足していきます。

巻頭・本編・資料編の役割

巻頭は「なぜこの本があるのか」、本編は「どう歩んできたのか」、資料編は「事実を確かめる」ための場所です。3つの役割を分けておくと、本編を読み物として書くことに集中できます。

巻頭:本の目的を伝える

巻頭には、トップの言葉、口絵、目次を置きます。口絵は本の冒頭、挨拶や目次の前に置く写真や図版のページです。巻頭を読んだ人が、この本は誰のために、何のために作られたのかを理解できる状態を目指します。

本編:歩みと理由を伝える

本編は、社史の中心です。通史で時代の流れを示し、その中に転機と判断の理由、事業と製品、人と組織、社員の声を配置します。本編に出てくる数字や年は、資料編と食い違わないようにそろえます。

資料編:事実を記録する

資料編には、年表、役員一覧、組織図、データ、奥付をまとめます。資料編の分量は、本文の1〜2割がひとつの目安です。本編で書ききれない事実は資料編に回し、本編の文章を読みやすく保ちます。

載せないものの決め方

何を載せないかは、原稿をまとめたあとに、項目ごとに「公開区分」を付けて決めます。取材の段階では範囲を絞らずに話を聞き、載せるかどうかは最後に、語り手と一緒に決めます。そのほうが、語り手に安心して話してもらえるためです。

公開区分を決める

聞いた話や集めた資料には、たとえば次の3つの区分を付けます。

3つの公開区分

  • 社外に出してよい:配布する社史や、ウェブで公開する版に載せる内容
  • 社内だけ:社員向けの版や、社内の記録にだけ残す内容
  • 残さない:語り手の希望により、記録に残さない内容

社外向けと社内向けで、版を分けることもできます。同じ原稿から、社外に配る冊子と、判断の理由まで残した社内向けの記録を作り分けます。

個人情報と肖像を確かめる

社員やOBの名前、経歴、顔写真を載せる場合は、本人の同意を取ってから載せます。退職した人や、亡くなった人の扱いも、事前に方針を決めておきます。写真については、誰が撮ったものか、以前に依頼した写真を社史に使ってよい取り決めになっているかも確かめます。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

取引先の名前と社内の数字を確かめる

取引先の名前や取引の内容を載せる場合は、相手先に確認を取ってから載せます。売上などの数字や社内の事情を社外向けの版に出してよいかも、社内で確認します。確認が取れないものは、「ある取引先」「〇〇業のお客様」のように、名前を出さない書き方に改めます。

読まれる社史に入っているもの

読まれる社史にするには、「判断の理由」「場面」「数字と出典」「人の言葉」の4つを入れると効果的です。年代順の記録に加えてこの4つを入れると、事実を確かめるためだけでなく、通して読みやすい社史になります。

判断の理由
書類に残るのは結論だけで、理由は残りません。「ほかにどんな道があったか」「なぜその道を選んだか」を書くと、その会社にしかない話になります。
場面
いつ、どこで、誰が、何をしていたかを具体的に書きます。工場の様子、最初のお客様との出会いなど、読み手が思い浮かべられる場面を1章に1つ以上入れます。
数字と出典
社員数や拠点の数などの数字は、話に説得力を与えます。人の記憶は年や数字がずれやすいため、決算書、登記、当時の資料などで確かめ、何に基づく数字かを添えます。
人の言葉
語り手の言葉を、そのまま引用します。要約した文よりも、本人の言い回しのほうが、考え方や人柄が伝わります。

4つを集めるには、取材で「なぜ」を重ねて聞くことが欠かせません。聞くことと集める資料は、下の無料資料「代替わりの前に残す、記録のチェックリスト」にまとめています。

要素ごとに集める資料

社史の要素は、取材での語りと、社内に残る資料を組み合わせて作ります。語りで判断の理由や場面を聞き、資料で年や数字を確かめるという分担です。取材の前に、次の資料を集めておくと進めやすくなります。

集める資料分かること主に使う要素
登記・定款いつ、誰が、何の目的で会社をつくったか通史(歩み)、年表、データ
決算書・売上の推移数字で見た節目。話の年や規模の確かめ数字で見る歩み、年表
昔の写真店や工場、社員、行事。時代の様子と、そこにいた人口絵、通史(歩み)、章扉
会社案内・チラシその時代に、何を、どんな言葉で売っていたか事業と製品
社内報・年賀状・挨拶文その年に、経営者が何を語っていたかトップの言葉、転機と判断の理由
表彰状・新聞記事外から見た会社の評価通史(歩み)、年表
過去の組織図・役員の記録部署や拠点ができた年、歴代の役員と在任期間人と組織、役員一覧、組織図

昔の写真は、裏に日付や場所、写っている人の名前が書かれていることがあるため、表と裏の両方を撮っておきます。手帳や日記などの個人の記録は、本人の許しを得てから読みます。

32ページの社史の目次の例

32ページ程度の社史は、巻頭4ページ、本編23ページ、資料編5ページほどの配分で組めます。次の例は、通史型を基本に、社員の声と数字を加えた構成です。

ページ区分載せるもの
1巻頭口絵(創業のころと現在の写真)
2〜3巻頭トップの言葉
4巻頭目次
5〜9本編第1章 はじまり(創業から〇〇年まで)
10〜14本編第2章 転機(〇〇年〜〇〇年)
15〜18本編第3章 いま(〇〇年〜現在)
19〜20本編数字で見る歩み
21〜23本編事業と製品
24〜25本編社員の声
26〜27本編これからの話
28〜29資料編年表
30〜31資料編会社概要、役員一覧、組織図
32資料編編集後記、奥付

このように、どのページに何を載せるかをページ順に一覧にしたものを台割といいます。目次が読み手のための案内であるのに対し、台割は作り手のための設計図です。台割を先に決めると、取材する相手、集める写真、原稿の分量が決まります。

冊子のページ数は4の倍数になるため、台割もそれに合わせて組みます。表紙をページ数に含めるかどうかは製本の方法によって異なるため、印刷会社と確認してください。型ごとの台割の例は、社史の5つの型に載せています。

AIにも読める書き方

社史をAIにも読める形にするには、1つの文だけで意味が通るように、年と主語を省略せずに書きます。社史は、人が読むだけでなく、社内のAIが参照する資料にもなり得るためです。

本の文章では、前後の文脈から分かる年や主語を省くのが自然です。一方、AIは文章を区切って読むため、省かれた年や主語を取り違えることがあります。そこで、本文とは別に、章末に省略しない文でまとめた事実メモを置く方法があります。

本文の文その年、撤退を決めた。

省略しない文(事実メモ)〇〇年、創業者は、〇〇の事業から撤退すると決めた。理由は、〇〇であった。

あわせて、用語や人の呼び方を全体で統一し、数字には時点を添えます。AIに会社のことを正しく答えさせる方法は、社内のAIに、自社のことを教える方法で解説しています。

さらに詳しく知りたい方へ

社史に載せる話の集め方と、本にするときの基本を、KATARUの2つの無料資料にまとめています。

集め方
無料資料「代替わりの前に残す、記録のチェックリスト」は、先代に聞くこと、集めておく資料、聞き方の段取り、聞いた話を年表・人物・判断の記録の3つの書式にまとめる方法を収めた資料です。
本づくり
無料資料「社史担当者のための出版大全」は、出版の種類、台割と製本、紙と印刷、写真・肖像・個人情報の扱いなど、社史を任された方が知っておきたい本づくりの基本をまとめた資料です。

用語の意味は、社史づくりの用語集にもまとめています。

よくある質問

社史には、何を書けばよいですか
トップの言葉、会社の歩み(通史)、年表、奥付の4つを核にします。そのうえで、転機と判断の理由、事業と製品、社員の声、数字で見る歩みなどを、社史の使い道に合わせて加えます。
社史の目次は、どのように決めればよいですか
まず社史の使い道と型を決め、歩みを3〜6の時代に区切って章立てにします。次に、巻頭、本編、資料編に何ページずつ割り当てるかを台割で決め、それを読み手向けに整えたものが目次になります。
沿革と通史は、どう違いますか
沿革は、出来事を年ごとに簡潔に並べたものです。通史は、会社の歩みを時代を追って文章でつづったものです。沿革は年表として資料編に置き、本編は通史として、判断の理由や場面を含めて書く構成がよく使われます。
載せたくない話は、どう扱えばよいですか
取材の段階では範囲を絞らずに聞き、原稿をまとめたあとで、語り手と一緒に「社外に出してよい」「社内だけ」「残さない」の区分を決めます。社外向けと社内向けで、版を分けることもできます。
社員や取引先の名前を載せるときは、何に気をつければよいですか
本人や相手先に確認を取り、同意を得てから載せます。写真は、撮影した人と、社史に使ってよい取り決めかどうかも確かめます。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
数字や年が分からない出来事は、どう書けばよいですか
決算書、登記、当時の社内報や新聞記事などで確かめてから書きます。確かめられない場合は、「〇〇年ごろ」のように幅を持たせ、語り手の記憶に基づくことを示します。
32ページの社史には、どこまで入りますか
巻頭にトップの言葉と目次、本編に3つの時代の歩みと社員の声、資料編に年表と会社概要を入れる程度が目安です。具体的な配分は、このページの「32ページの社史の目次の例」をご覧ください。

続きは、無料の資料で

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公開日:2026年10月14日 KATARU(運営 ミダスマーケティング)