周年事業の目的を、社内向けと社外向けに分ける
周年記念にやることは、何をするかより先に「誰に、何を伝えるか」で決めます。周年事業の目的は、社員の一体感やこれからの方針を伝える「社内向け」と、お客様や取引先、地域への感謝と信頼を伝える「社外向け」に分けると整理しやすくなります。目的が決まると、記念誌、式典、記念品などの施策のうち、どれに力を入れるかが決まります。
| 向き | 主な相手 | 目的の例 |
|---|---|---|
| 社内向け | 社員、その家族、OB・OG | これまでの歩みを共有する/創業の考え方を次の世代に伝える/これからの方針を示す/社員の一体感を高める/長く働く人に感謝を伝える |
| 社外向け | お客様、取引先、株主、金融機関、地域 | お世話になった人に感謝を伝える/会社の信頼を伝える/事業や考え方を知ってもらう/採用につなげる/地域とのつながりを深める |
社内向けと社外向けの両方を狙う場合も、いちばん大事な相手を1つ決めておくと、施策の優先順位で迷いにくくなります。周年は、社員と社外の人が同じ時期に会社の歩みに目を向ける、数少ない機会です。
周年を迎える会社の数
周年は、多くの会社が毎年迎える節目です。帝国データバンク「全国『周年記念企業』調査(2026年)」によると、2026年に周年を迎える企業は全国で14万5,159社です。
| 節目 | 2026年に迎える企業の数 |
|---|---|
| 20周年 | 2万6,663社(節目の中で最多) |
| 50周年 | 1万7,939社 |
| 100周年 | 2,371社 |
| 合計(10年刻み、200周年超は50年刻み) | 14万5,159社 |
同調査は、帝国データバンクの企業概要ファイルと企業信用調査報告書などをもとに、2025年11月時点で、創業・設立から10年刻み(200周年を超える場合は50年刻み)の節目を迎える企業(個人経営、特殊法人、団体などを含む)を数えたものです。自社の周年を、何を残し、何を伝える機会にするかを考えることが、周年事業の出発点になります。
よくある施策と、向き不向き
周年事業のよくある施策は、記念誌・社史、式典・社員イベント、記念品、ロゴやスローガン、ウェブの特設ページ、動画、社会貢献の7つです。それぞれ、残るもの、届く相手、準備にかかる時間が異なります。
| 施策 | 向いている目的 | 届く相手 | 残るもの | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| 記念誌・社史 | 歩みの共有、次の世代への継承、取引先への感謝 | 社内と社外の両方 | 本とデータ。何年後も読める | 取材と確認に時間がかかる。早めに始める |
| 式典・社員イベント | 感謝を直接伝える、一体感を高める | 招いた人と参加した社員 | 当日の体験と写真 | 参加できない人には届かない。記録を残す手段をあわせて考える |
| 記念品 | 感謝のしるしを手渡す | 配った相手 | 品物 | 品物だけでは会社の歩みは伝わりにくい。記念誌と組み合わせると意味が伝わる |
| ロゴやスローガン | これからの方針を示す | 社内と社外の両方 | ロゴや言葉 | なぜその言葉なのか、背景を説明する場が要る |
| ウェブの特設ページ | 社外に広く知らせる、採用につなげる | サイトを訪れる人 | ページ(公開を続ける間) | 社員の名前や写真を載せる範囲を決める。閉じると読めなくなる |
| 動画 | 経営者の語り口や現場の空気を伝える | 式典の参加者、サイトを訪れる人 | 映像 | 出演する人の同意を取る。年や数字の細かな記録には向かない |
| 社会貢献 | 地域や社会への感謝を形にする | 地域、社会 | 活動の成果 | 一度で終わらせず、続けるかどうかを決めておく |
施策は1つに絞る必要はありません。たとえば、式典で記念誌を配り、同じ原稿の一部をウェブの特設ページに載せ、経営者の語りを動画にする、といった組み合わせができます。このとき、記念誌の原稿が、ほかの施策の素材になります。
何年前から準備するか
周年事業の準備期間を示した公的な統計は見当たりません。ここでは、記念誌づくりの工程から逆算した目安を示します。記念誌のように取材と確認が要る施策は、周年の1年以上前に企画を始めると、取材の日程と確認の時間に余裕を持たせやすくなります。100ページを超える本格的な社史や、資料集めに時間がかかる場合は、さらに早く始めます。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 1年半〜2年前 | 周年事業の目的を決める。担当者と、最終的に判断する人を決める。予算の枠を決める。大きな社史を作る場合は、資料集めを始める |
| 1年〜1年半前 | 施策を選ぶ。記念誌の型、ページ数、部数を決める。式典の日程と会場の候補を決める |
| 半年〜1年前 | 記念誌の取材と執筆を進める。ロゴやスローガン、記念品の案を固める。動画の撮影を進める |
| 3〜6か月前 | 記念誌の確認・校正とデザインを進める。招待する人の名簿を作る。ウェブの特設ページを準備する |
| 1〜3か月前 | 記念誌を印刷・製本する。記念品を発注する。招待状を送る |
| 周年の当日以降 | 式典で記念誌や記念品を配る。参加できなかった人に届ける。集めた資料と記録を保管する |
上の時期は、どの施策にも当てはまる決まりではなく、目安です。記念誌の工程ごとの期間は、社史の作り方:流れと期間の目安で詳しく解説しています。周年の日に間に合わない場合は、式典では写真年表型の薄い冊子を配り、本格的な社史は後から発行する、という分け方もあります。
記念誌を周年事業の中心に置く利点
記念誌(社史)を周年事業の中心に置くと、ほかの施策の中身がそろい、周年が終わった後にも記録が残ります。記念誌をつくる過程で集めた写真、年表、経営者の言葉は、式典の映像、ウェブの特設ページ、スローガンの説明など、ほかの施策にも使えるためです。
- ほかの施策の素材になる
- 取材で聞いた話や集めた写真を、式典の挨拶、動画、ウェブの特設ページに使えます。施策ごとに別々に素材を集める手間が減ります。
- 社内と社外の両方に届く
- 社員にとっては歩みを知る教材になり、取引先にとっては会社の信頼を伝える資料になります。式典に来られなかった人にも、配ることで届きます。
- 周年の後も残る
- 式典は当日で終わりますが、記念誌は何年後も読めます。入社した人への説明や、次の周年の資料集めにも使えます。
- 方針の背景を説明できる
- 新しいロゴやスローガンを発表するとき、その背景にある歩みと考え方を記念誌で伝えられます。
- 話を聞けるうちに聞ける
- 創業のころを知る人に話を聞くきっかけになります。判断の理由や当時の場面は、聞いておかないと残りません。
記念誌の構成は、ページ数と目的に合わせて選びます。周年の記念に配る冊子であれば、16ページまでは写真年表型、それより厚い場合は年次型や通史型が向いています。何を載せるかは社史に何を書くかで解説しています。
周年事業の決め方の手順
周年事業は、目的、相手、施策、記念誌の中身、日程の順に決めると、途中で施策が増えすぎることを防げます。
- 目的を決める:社内向けと社外向けのどちらを重視するか、周年を何の機会にするかを、経営者と担当者で言葉にします。
- 相手を決める:社員、OB・OG、取引先、地域など、いちばん大事な相手を1つ決めます。
- 体制を決める:担当者と、最終的に判断する人を決めます。部署をまたぐ場合は、事務局を置きます。
- 施策を選ぶ:上の表をもとに、目的と相手に合う施策を選びます。記念誌を中心に置くかどうかを、ここで決めます。
- 記念誌の中身を決める:型、ページ数、部数、配る相手を決めます。取材の相手と集める資料も、ここで洗い出します。
- 日程を逆算する:周年の式典や配る日から逆算して、施策ごとの締め切りを決めます。
- 予算を割り振る:施策ごとに予算を割り振ります。費用の考え方は社史の費用で解説しています。
社員や取引先を載せるときの注意
記念誌、ウェブ、動画に社員やOB・OG、取引先の名前、写真、声を載せる場合は、本人や相手先の同意を取ってから載せます。ウェブは冊子よりも広く読まれるため、載せる範囲を別に決めておきます。権利や個人情報の扱いで判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
社史という言葉の意味や、記念誌・年史との違いは、社史とはにまとめています。
無料資料のご案内
周年の記念誌づくりを任されたときに、社内での説明や計画づくりに使える資料を、無料で公開しています。
- 無料資料「社史担当者のための出版大全」:最初に決める12のこと、発行日から逆算するスケジュールの書式、工程ごとの費用の内訳、判型・製本・台割の基本、校正の言葉を収めています。
- 無料資料「代替わりの前に残す、記録のチェックリスト」:経営者や先代に聞く20の質問、聞き取りの段取り、年表・人物・判断の記録の書式を収めています。
よくある質問
- 周年記念には、何をすればよいですか
- まず、社内向けと社外向けのどちらを重視するか、周年事業の目的を決めます。そのうえで、記念誌・社史、式典・社員イベント、記念品、ロゴやスローガン、ウェブの特設ページ、動画、社会貢献などから、目的と相手に合う施策を選びます。
- 周年事業の準備は、何年前から始めればよいですか
- 公的な統計はありませんが、記念誌のように取材と確認が要る施策を含む場合は、1年以上前に企画を始めると余裕を持たせやすくなります。100ページを超える社史を作る場合は、さらに早く始めます。
- 周年を迎える会社は、どのくらいありますか
- 帝国データバンク「全国『周年記念企業』調査(2026年)」によると、2026年に周年を迎える企業は全国で14万5,159社です。このうち100周年は2,371社、50周年は1万7,939社、20周年は2万6,663社です。
- 記念誌と社史は、どちらを作ればよいですか
- 周年の式典で配り、節目を祝うことが中心であれば、写真を中心にした記念誌が向いています。歩みと判断の理由を次の世代に残したい場合は、社史として作ります。周年に合わせて社史を作り、その一部を記念誌として配る方法もあります。
- 周年の日に、記念誌が間に合いそうにないときはどうすればよいですか
- 式典では写真年表型の薄い冊子を配り、本格的な社史は後から発行する方法があります。取材を深くしておけば、後から厚い社史にまとめ直せます。
- 小さな会社でも、周年事業をしたほうがよいですか
- 規模にかかわらず、周年は歩みを振り返り、お世話になった人に感謝を伝える機会になります。式典を開かなくても、8〜16ページ程度の記念誌やPDFを作り、社員と取引先に届ける方法があります。
続きは、無料の資料で
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公開日:2026年10月15日 KATARU(運営 ミダスマーケティング)